[コメント] タンデム(1987/仏)
ストーリーの核心を突いている訳ではない何気ないワンシーンが、こんなにも必要だと思わせる映画は他にないかも知れない。
この映画で私が最も心に残っているシーン。それは冒頭から何度となく挿入される、後部座席からのアングルで運転席と助手席に座るミシェル(ジャン・ロシュフォール)とリプトジェラール・ジュニョを映すシーンです。一貫してコンスタントに挿入されるこのシーン。これってあってもなくてもいいんじゃないの?と思えるような、一見なんでもない一場面なんです。
無言で時折お互いの顔を見つめる。でもその視線は決して交わる事がないんです。この交互の視線のやり取りがこの作品にはとても必要なんだと思えました。お互いの横顔を見つめるその視線の優しさは、見つめ合っている時には決して見せない表情で、互いをどれだけ必要としているか。その事が垣間見れるシーンだと思いました。
だからストーリーの核心では涙は出ないのに、この何気ないシーンが挿入される度に涙腺が緩くなるんです。なんとも言えない、控えめで品のある作品だと思いました。パトリス・ルコントは好きな監督のうちの一人ですが、この作品が一番好きです。
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07.01.25 記
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