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[コメント] 黄金の馬車(1953/仏=伊)

素晴らしく流麗。奥行きを重視したスタンダードサイズの完璧な活用。御噺は宝塚程度、年増女優がモテモテになるという仏映画の悪い癖は我慢すべし。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







調子のよい舞台づくりとポップな舞台の愉しさ、古楽混じりの音楽の素晴らしさ、観客を舞台に引き込む件の巧みさ、舞台裏から切り取る構図の抜群なこと、舞台裏と舞台の往還の愉しさ、子役たちのお道化っぷり(他に何もしないのが凄い)、閣議のドタバタ、観客席だけ捉える闘牛場のラディカルな撮影、男三人が入り乱れる終盤の扉の巧みな使い回し。あれよあれよですぐ終わる。重層的なラスト(フェリーニは『終電車』で引用したのだろう)は「舞台は芸術だよ」という序盤の科白と響き合って完結している。

始終鳴り続けるヴィヴァルディは物語などどうでもよいと云っているかのようだ(映画音楽は物語を先へ進める技法なのです、とゴダールは云っている)。「未開人の処で一緒に暮らそう」なるプロポーズは過激で、このまま収束させれば『』や『南部の人』などの監督らしく個人的には好みだったのだが、本作のあれよあれよの終わり方も素敵だ。

(評価:★4)

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