[コメント] 男はつらいよ 噂の寅次郎(1978/日)
志村喬最後の出演。内容は極めてオーソドクス。色々やっちゃったので、とりあえず休憩しましょうって感じ。いわば原点回帰・・・なのかな。→
原点回帰といっても、森川信のおじちゃん以来、腹を抱えて笑うような作品に出会ってないなあと感じる。
森川信のおじちゃん亡き後、吉永小百合や浅丘ルリ子・八千草薫・岸恵子などマドンナに重量級を据え、それが一段落したら今度はゲストに宇野重吉や嵐寛寿郎・三木のり平など大御所を招聘。さらにマドンナを病死させてみたり、ついには松竹お膝元のSKDまで出してみたりしたけど・・・もう後が無かった。じゃあ、ひとまず原点に戻って無難に作ってみましょうか、という感じの作品。まあ、この後も寅さんに坊さんをやらせたり都はるみを出したり松竹の切り札松坂慶子を出したりと「男はつらいよ」シリーズは展開していくわけですが。
そうそう、大原麗子扮する早苗さんは、そもそも従業員だったはず。なんか、とらやの中での優遇され具合がどうにも「お客さん」然としてて気になった。言葉遣いだって、ちょっと工夫すれば「従業員の早苗さん」を保てたのに。若尾文子扮する夕子さんとは同じ店の手伝いでも立場が違うんだから、演出でどうにかしてほしかった。最後の最後、帰宅する早苗さんに向かっておばちゃんが「ご苦労さん」と言う一言で、「早苗=従業員」が明確になって「そうだよ、そうだよ」と納得。大原麗子はまさにこの頃が絶頂期。
総じて、作品自体にはちゃめちゃなパワーはないけれど、志村喬の出演も相俟って落ち着いた雰囲気を楽しめるのではないだろうか。
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