[コメント] レネットとミラベル 四つの冒険(1987/仏)
開巻は、田舎の道。画面奥から自転車に乗って手前に来る、赤いセーターを肩にかけた女性(後でミラベルと名乗る)が映る。次に、別の道を画面奥から歩いて来る白いブラウスの女性(こちらがレネット)がクロスカッティングで繋がれる。自転車から降りてタイヤに空気を入れ始めるミラベルの側をレネットが通りかかり、2人が出会う。この後すぐに、唐突に赤いプラスチックのタライ(水おけ)が映り、ズームアウトしてパンク修理をしている2人の場面になる。もうこの冒頭のカッティングからして素晴らしい。
この章は、レネットの家(かなりのボロ屋)に、ミラベルが2日間泊めてもらうエピソード。家屋内でもレネットが描いた絵にゆっくりとズームインしたりとズームをよく使う。ゆったりとしたパンやティルトも。途中で『木と市長と文化会館または七つの偶然』と同じようなドキュメンタリーっぽい田園地帯の紹介シーケンスがあり(鵞鳥、鶏、ヤギ、馬との触れ合い、レネットの隣人ウソー氏との会話など)、やっぱり緩やかなズームを多用する。これらはドリーと見紛うような品のある使い方でズームのイヤらしさは全然感じないものだ。それは、この一章だけでなく全編に共通して云える。
一章の章題は「青の時間」。詳述は避けようと思うが、ちょっと『緑の光線』と同じような趣向が描かれている。しかし、その「時間」と青の「色彩」の画面への定着は、全く息を呑むものだろう(そういう意味でも『緑の光線』と同じだ)。また、最初の段落で意識して書いておいたが、赤色を中心に、画面の中の色の使い方も、全編(二章以降含めて)見どころであるということも記載しておきたい。あと、第一章の中で、ミラベルとレネットが2人で音楽に合わせて踊るシーンがある。これも実に良い演出だ。最初に踊り出すのはミラベルで、レネットは習ったこともないし、ディスコに行ったこともない、と云っているのだが、踊りはじめると、レネットの方が断然カッコ良く踊る。ロメールらしいアイロニカルな造型。こういった、2人のキャラのちょっとした同異を全編に亘って面白く見せている。
#備忘でその他の配役などを記述します。
・二章でレネットが道(ゲテ通り)を聞く通行人はフランソワ=マリー・バニエ。そこへ口を挟んでくる別の通行人はジャン=クロード・ブリソー。
・三章のスーパーの万引き監視者(男女)、内女性の方はベアトリス・ロマン。また、駅でカバンを盗まれたので助けてと云ってくるマリー・リヴィエール。
・四章の画商はファブリス・ルキーニ。彼がラストを締める。
(評価:)
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