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[コメント] 男はつらいよ 寅次郎恋愛塾(1985/日)

まったく「つらいよ」感がないと寅さんではなくなってしまうが、無理くりな「つらいよ」感がないのは良かった。
G31

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 寅が、若い男女の恋愛指南にあたるというストーリーはこれまでもあった。本作は、タイトル(副題)も「恋愛塾」と、その役回りを前面に押し立てた形。『男はつらいよ』は、副題と作品の内容が一致しないことが多いが、本作でその心配はなさそう。話としても、親子ほど年の離れた娘に懸想する醜悪さがないし、寅の木偶の坊ぶりの腑甲斐なさもない。若い2人の恋愛も一応ハッピーエンドと、落ち着きのよい回になっている。寅の常識外れなヤクザ者気質に振り回されることも、とらやの面々の寅への冷酷さを見せられることもなかった。

 でも、「あー楽しかった」と見終えてふり返ると、「あれ。冒頭で初井言栄のおばあちゃんが亡くなって、ずいぶん重たい出だしだと思ったけど、その後の展開にほとんど陰を差してない。人の死の扱いが軽い」などの違和感も少々。「若菜(樋口可南子)がカトリック教徒だというのも、特に意味なかった。そもそも婚前交渉を認めてるじゃん」とか、「平田満、冴えない司法試験浪人生としてならまだしも、東大卒の秀才には見えなかったな」とか。このあたりに目をつむって見ることができれば、楽しめる作品だとは言えよう。つむりすぎか。

 樋口可南子のマドンナは、笑う表情に愁いがあるなど思いのほか良かった(←そこだね)。

80/100(19/6/22見)

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 若菜ちゃん(樋口可南子)を首尾よく(?)ゲットした民夫さん(平田満)は、裁判官になる夢を諦めてしまう。その理由は、自分の人格に裁判官の持つべき高尚さがないから、みたいなことだった。ここら辺が寅さん脚本によくある「よくわからん」ところだ。もちろん邪悪な人間であってもらっちゃ困る。でもそうでなけりゃ、司法試験に受かった人間なら、誰にもなる資格があんでないか? ま、なんだかんだ生活のためなんだべな。嫁さん貰うんだから。

(22/6/19記)

(評価:★4)

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