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[コメント] 地獄の黙示録(1979/米)

ワルキューレの騎行シーンの衝撃。 2003年11月22日テレビ鑑賞
ねこすけ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







幸運にもBSハイビジョンでの放送に遭遇。この映画史に残る名作が劇場で公開された当時、俺は高校受験直前の受験勉強中につき映画自粛中だった為、この衝撃波を肌に感じる事が出来なかった。映画館、という映画を見る為に、それだけの為に存在する場所で、今の時代では到底むりな撮影を見る事が出来なかった。スッげー悔しかった。

だって、あのワルキューレ騎行シーンのあの衝撃。ヤバイ。やばすぎる。その後の、ダラダラと続くストーリーは所々のエピソードや、テンポも良いのだが、どうしてもイマイチ狂気を感じきれなかったが、ワルキューレシーンは違った。あのおっさんの行動と言動、そして圧倒的にダイナミックな映像とナパーム弾で森を焼き尽くす映像。

ベトナム戦争という極限状態の中で、サーフィンをする事を考えて町を一つヘリ部隊で襲撃。ミサイル放って弾丸の雨を降らせて自分勝手に力を振りかざした挙句の果てに、見てくれの為に逃げ惑う親子を助ける。しかし、今にも死にそうな瀕死の重体の人は助けない。しかし、ナパーム弾のガソリン臭い臭いに満足しながらも、お陰で風向きが変わってしまった、と言う事で一人で怒り始める。

このシーンの圧倒的インパクトはもの凄いモノだった。

しかし、その後の展開はどうも退屈。ベトコンに出会ったら軽々と撃ち殺して「mother fu*ker !!!」と、叫びながらマシンガンをいくらでも乱射して、殺せば殺すほど誉められる世界に居ながらもトラを見たらびびる兵士、出くわしたベトナム人の船を無意味に検問して結局全員射殺してしまう姿、プレイメイトを見ながら興奮しヘリにぶら下がってまで追いかける男達、ガソリンと引き換えにヘリ内でセックスを始める。その時のプレイメイトの告白は、本国で平和ボケしていて戦場に来て見ると地獄という事を思い知った、と言う事(これはよくある展開だな)等々、良い箇所もあったけど、どうも誉めきれるとは思えない。

テンポは良く、上映時間程は映画の長さを感じないものの、やはり長い。特にフランス人植民地での政治的会話のシーンは不必要に思える。あそこまで長く台詞で語らせる必要があるのだろうか?確かに納得できる会話も多くあったが、少し冗長な感が残った。

そう、観点は素晴らしいのだが、まとまりが無い感じがする。故に、何かだらだらと冗長に感じてしまうのだと思う。

そして最終到達地にたどり着き、カーツ大佐とようやく対面。しかし、静かなシーンが延々と続いた末にエンドロール。俺は見事に肩透かしを食らった。正直、ラストに何かスペクタクルがあると期待していたが、結局何も無いまま終わってしまった。

俺はバカなのでこの作品が言わんとすることを全て理解できた訳ではないので無責任発言になるが、ラストはやはり森をナパーム弾で吹き飛ばすくらいのカタルシスとダイナミックさが欲しかった。

開始約40分地点で表れるワルキューレの騎行シーンの圧倒的な迫力は素晴らしい。あれだけでも、そこらの凡作一本分以上の価値があるのではないだろうか?だが、開始すぐにデカイ衝撃を与えすぎた為に、物語後半にインパクトが薄すぎる。特に最後の1時間は半分退屈、半分先に期待、という微妙な心境だった。

駄作とも思わない。傑作とも思わない。思えない。

(評価:★3)

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