マストロヤンニとローレンのコンビと言えばどれほど多くの作品であったことだろう。いずれもイタリアを代表する名優だ。この二人の演技に見いだされる感情表現はイタリアのそれ。熱くそして時に優しく。この映画では静かな二人の演技が見物だ。

『マディソン群の橋』を思い出す。倦怠期。ここではメリル・ストリープが見事な演じ方をしていたが、イタリアのこのソフィア・ローレンのこの演技には見劣る。枯れた演技。見るからに大作りな顔立ち。にもかかわらず…である。

マストロヤンニについては述べるまでもない。この男、決して色男とは言えぬ地味な顔立ちだが、ヴィスコンティに見いだされフェリーニで有名になったこの男の不思議なホモセクシュアルな雰囲気は、イタリア映画に欠かすことができない。