[コメント] 男はつらいよ 寅次郎の青春(1992/日)
驚くべき山田マジック!
山田洋次監督の演出の「魔術」にびっくり。後藤久美子はきれいだし、がんばっているが、寅さんシリーズでの役どころ、母一人娘一人の中で、強い意志で自己を確立しながらも母親のことを思いやる、そういう「薄倖」の宿命を背負うような、そんな難しい役をこなせるだけの力量はちょっときびしい。
ところが、山田監督は役者本人にそういう力量がないなら、倍賞千恵子や夏木マリ、風吹ジュンといった肝要な所にいるベテラン俳優の力を頼りに、さらに渥美清、前田吟、果ては吉岡秀隆という自分の意を体現できる役者たちまでフルに使って、見事、後藤久美子に健気な女性を演じさせてしまった。
いやもう、凄い、の一言である。伊達に寅さんシリーズを長年にわたり続けてるわけではなかった。これだけの技をもった監督はそうはいないのではないだろうか。
後、永瀬正敏。近年、色んなところで活躍しているが、こういうのが一番、彼の雰囲気に似合っているように思えた。この点でも山田洋次の慧眼がうかがえる。
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