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[コメント] イングリッシュ・ペイシェント(1996/米)

愛する人の命を天秤にかけた時、それに見合ったものを払うことになります。「対価を与えよ」
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 文芸作品を好んで監督するミンゲラ監督による、おそらくは代表作。たまたま先日入った名画座で予告を観て、凄い好みの俳優陣ばかりで、アカデミー受賞作。という事で是非観てみたい!と思いレンタルで観てみた。

 まあ、作品として決して悪いものではない。特に乾いた砂漠の描写と、やはり乾いたイタリアの片田舎の描写の対比が素晴らしい。美術に関してはもう言うべき事はない。

 物語も、現在と過去をザッピングし、愛する人の命を天秤にかけた時、人間はどのような決断をするか。と言う点にいくつものパターンを用意してるのも興味深い。あるものはその愛が通じないからこそ、一緒に死ぬことを選ぼうとするし、あるものはそのために他の多くの人の命を犠牲にする。そしてあるものは自らの命を的にして愛するものを守ろうとする。愛するものを守るために払った犠牲は人それぞれ。人はそれに見合った報いを受けることになる。その辺の緊張感はなかなか良い具合。

 ただ、それが分かっていたとしても、やってることは二組の三角関係が延々と続くって奴で、これだけの長さに渡ってそればっかやられると、流石にちょっとげんなり。元々不倫もののメロドラマはどうにも相性が悪い上に、基本が人間のアップばかりと言うことで、ちょっとこれはきついぞ。

 もちろん登場人物は好みばかりで、アップ描写は嬉しいのだが、全員キれることなく、抑えた描写なので、かえってちょっときつい。大体顔つき濃いのばっかじゃん。アップばかりだと疲れてしまうよ。

 人間の営みよりも自然の方を前面に押し出したベルトルッチ監督の『シェリタリング・スカイ』観た後だと、本作の魅力は落ちるなあ。

(評価:★4)

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