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[コメント] 北斎漫画(1981/日)

地上波では描かれない北斎の半面。☆3.4点。(Reviewではドラマ「眩〜北斎の娘〜(2017/NHK)」に言及)
死ぬまでシネマ

**ネタバレ注意**
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葛飾北斎と言うと「凱風快晴(赤富士)」や「神奈川沖浪裏」等の『冨嶽三十六景』、『北斎漫画』が有名であるけれど、春画も沢山描いていたんですね。緒形 拳の北斎(鉄蔵)とも来れば、そうした所からのバイタリティーがあった方がサマになるが、各派・洋画に手を出す節操のなさは探究心・向上心から来てたのだという所はしっかりとは描いてくれてない。

先日NHKで放送されたドラマ「眩(くらら)〜北斎の娘〜」では北斎の娘に焦点を当て、その応為=お栄を宮崎あおいが熱演している(北斎は長塚京三)。この作品には原作(朝井まかて)があるが、本作からの四半世紀に、葛飾応為の研究が進んだのであろうか、応為は一度ほかの絵師の許に嫁入りし、その後北斎の処に出戻っている。「眩(くらら)」では北斎父娘共に天才絵師として描かれ、その見事な作品も紹介されるが、春画の話は僅かしか出てこない。確かに宮崎あおいの演技は江戸娘の可愛さは出ていたが、自身も春画家であるというエロスは出てなかったなぁ。

      ◆     ◆     ◆

本作後半の曲亭馬琴(佐七/西田敏行)との呆け老人コントは、田中裕子(お栄)のおトボケ感も参戦し、わざわざ映画で観るシュールさが見事。前半の馬琴の生真面目さがまさかこんなオチになるとは大笑いだった。「眩」では馬琴は野田秀樹が演じ、北斎を叱り飛ばしている。こっち(NHK)もいい演技だったが、北斎との関係は(本作で言うと)喜多川歌麿(愛川欽也)とのそれに近かったね。

(評価:★3)

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