[コメント] ディア・ハンター(1978/米)
いつまでも乾くことのない,痂(かさぶた)。
原題がダブルミーニングだとしたら,本作の味わいさらに深く。
心に焼き付いた傷跡は,銃声鳴り止み,兵士が引き揚げた後も,うずき続ける。
戦場から還ってからが本当の地獄。それがNAM War。
本作で描かれたのと同じような扱いが,北ベトナム兵士に対してはなかったと誰が言えよう。
戦争に勝者はいない。いるのは敗者だけだ。
彼らが癒されるのは,いつ?
追記:
映画『グリーン・ベレー』からわずか10年。
本作でマイケル・チミノは斜に構えつつ,しかし威風堂々頭(かぶり)を振った。
アカデミー賞授賞式の作品賞プレゼンターは他ならぬ,ジョン・“デューク”・ウェイン。
強い男,強いアメリカを体現し続け,『グリーン・ベレー』では彼なりのベトナム戦争を描いてみせた男。
そのデュークが癌に蝕まれた体に鞭打ち,壇上に立つ。
そして―「 and THE WINNER is …“The deer hunter”」。
何とも痛烈。こんな巡り合わせ,脚本家でもとても書けまい。
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