[コメント] ニュールンベルグ裁判(1961/米)
スタンリー・クレイマーらしい倫理観の欠いた映画演出が横溢。例えば、人物の縦位置でのパン・フォーカス画面が多く、辟易してくる。豪華スター達を別撮りしたものではない、ということを判らせたいだけじゃないか、と勘ぐりたくなる。或いは、まるで「さあこゝを見ろ」と云わんばかりの説明的ズーミングも嫌になる。
裁判シーンの途中まで(と云ってもすぐだが)ドイツ人役はドイツ語を喋っており、英語通訳も律儀に描かれるが、マクシミリアン・シェルの陳述のある瞬間から全て英語に切り替わる。この措置は映画的でいいと思った。マレーネ・ディートリッヒとスペンサー・トレイシーと夜二人して街を歩くシーンでパブから歌が聞こえ、ディートリッヒが「リリーマルレーン」を口ずさむシーンは思わず涙が出そうになる。モンゴメリー・クリフトとジュディ・ガーランドの尋問シーンもやっぱり感動的だ。やつれたジュディ・ガーランドには胸が痛む。またリチャード・ウィドマークをずっと見ていたい、という詮無い欲望も立ち上がる。と云うわけで、クレイマーの嫌味な演出は随所で見られるが、面白さということでは実に面白い、見所の沢山ある映画ではある。
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