[コメント] マーティ(1955/米)
日頃「映画は脚本では決まらない」と常々思っているにもかかわらず、本作に関しては「パディ・チャイエフスキー脚本の映画なんてどうせ嫌味な映画に違いない」と見る前から偏見があったのだが(『ネットワーク』(1976)一本の印象だけでです!)、確かに嫌味な部分もあるけれど、それ程悪い映画ではありませんでした。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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マーティとクララに関する部分以上にマーティの母親やその姉と息子夫婦を絡ませる演出が当時としては目新しかったのではないかと思えるが、しかし一番良いシーンは深夜の喫茶店での主役二人のシーンだろう。二人が会話するだけのシーンだが、バストショットで丹念なカットバック(リバースショット)を繰り返しながら、二人の感情に寄り添うように見事な呼吸でアップカットへ繋いでいる。やっぱり映画の王道はカットバックです。
嫌味な部分を指摘するのは無粋だし、映画的な話でもないので気が引けるが、指摘しないのも不誠実なので一応書いておく。一言で云えば恋愛至上主義を主張し過ぎていますよこの映画は。恋愛至上主義という言い方だけなら「恋愛映画なんだからあたりまえやん」ということになるが、本作は「いつまでも一人でいるのは惨め」或いは「結婚しないのは惨め」というある種の偏見が前面に出過ぎていると思います。マーティの従兄弟は結婚しても母親と妻の間に挟まって苦労をしており、このあたりで少しはバランスを取ろうとした跡もうかがえるけれど、エンディングでマーティが友人のアンジーに云う科白は私には全く興醒めでした。素直に「マーティ頑張れ」という気にならないエンディングは私には演出が上手くいっていないと思えます。
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