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[コメント] 誓いの休暇(1959/露)

余りにも清冽な初恋噺。「立派な戦士」云々という煩いナレーションはソ連の検閲対応であり黙殺すべきだろう。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ジャンナ・プロホレンコ登場から別れまでの件がとてもいい。藁に隠れてたウラジミール・イワショフの頭上に外套投げ捨てるギャグからしていいし、水汲んでいて汽車に乗り遅れてからお祖母さんのトラックで追いかけ、駅での再会に至る件もいいサスペンスで美しい。恋人に逢いに行くと偽るのが田舎娘らしい恋愛テクで好ましく、これが最後に明かされると、そういうことだったのかと、観客にもう一度最初からなぞり直させるインパクトがあった。唐突な別れは切なく、戦時の儚さを感じさせる。

それだけに、帰郷したら田舎娘が綺麗になっていたという終盤は目移りの予感がして邪魔だろう。その他幾つかの件は平板。片脚の兵隊を電信係の女が突然励ます件とか、戦局悪化のラジオ放送を野原で聞く民衆の描写からは、反戦というよりも戦時の民衆団結というニュアンスが強いと感じられる。冒頭の戦車とひとりで闘い勝っちゃうブラックユーモアはとてもいい。

(評価:★4)

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