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[コメント] パトリオット・ゲーム(1992/米)

手際のイマイチな襲撃がかえって真に迫り、捨て身でテロリストに飛びつくハリソン・フォードに圧倒される。
G31

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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 以前は★3つ。さほど高く評価してない。でもいま見ると、銃撃シーンも爆破シーンも高速上でのちょっとしたカーチェイスも、ライアン(フォード)屋敷での敵味方の攻防も充分にスリルがあって楽しい。アクション映画としての基礎演出力はなかなか高いんじゃないか、という感じだ。

 その上で、やっぱジャック・ライアンのキャラクター造形だろうか。ハリソン・フォードに演じさせたことも奏功したろう。ただの分析官で「エージェント」とかじゃないのに、いや、だからこそかもしれないが、不屈の正義感みたいなものを持ってみえる。それは途中から、「家族を守る」執念的なものに変節したようにも見えたけれど。

 IRAのスポークスマンみたいな男(リチャード・ハリス)と酒場で対峙するシーン。初め、酒をおごらせてくれと言って男に近寄る。その後は、予想にたがわず、海千山千の活動家に「軽くあしらわれた」といった展開になる。ところが、それをまるで見越してでもいたかのように意に介さず、こう言ってのけるのだ。「(自分の)娘の病室にTVのカメラを入れる。お前らの仕出かした悪事を全世界に印象づけ、お前らの資金源を根こそぎ絶ってやる。それを死ぬまで俺の生き甲斐にするぞ」。文字に起こすと、ガキの寝言か悪あがきといった台詞でしかないが・・・。成立しそうもないキャラクターが成立してみえる。そこに魅力がある。

 ショーン・ビーン(本作が初見)演じるテロリスト(役名もショーン)のキャラクターも興味深い。屁とも思わず人を殺すのに実弟を殺されると根に持ち(しかも弟をテロ組織に誘ったのは自分とか)、私怨の復讐作戦に何度も付き合ってくれる優しい?テロ仲間を殺してまでライアンを追う。まあ、こちらはストーリーを成立させるための方便みたいな役回りか。でも硬骨な正義漢はおろかひ弱な文学青年さえ演じられそうな二枚目ビーンが憎たらしいまでに演じきった。

 IRAの連絡役の古本屋(ハゲ)が監視カメラに気づいて逃げるとき、なぜか店の商品を2、3冊持ち出した。稀覯本か何かで別の古本屋で売って逃走資金にでもしたのかしら(ノーカット版じゃない版を観てるのかも)。

80/100(22/1/24CATV見)

(評価:★4)

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