[コメント] ニル・バイ・マウス(1997/英)
もう観たくないけど、監督の真摯な姿勢に非常に好感を感じた。自分も暴力に支配された家庭をよく知っている。そういう家では静かなひとときは嵐と嵐の合間でしかない。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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それが判っていても、そんな日常に慣れきってしまったから一家は談笑していられるのだ。でもそうやって荒んだ毎日に自らを適応させてしまってはいけないとゲイリー・オールドマンはメッセージを送っているように感じた。そんな街で育った彼も被害者で、こうやって表現する力を持てるようになった今、中途半端に感傷的な自伝的物語をつくるはずがないと思うから。
憶測だが、彼は過去や父親を今でも許していないのではないだろうか。自分は「決して許さない」事も人生で大事な事だと思う。
しかしその激しい感情に流されて、劇中の一家を悲惨な死においやって幕を閉じたり、逆にあの父親が本当に改心して平和な生活が戻るといったファンタジーにすがったりせず、「どんなに悲惨な毎日の繰り返しでも迎合し、向上する事なく一生を過ごしていく人達がいる」というような示唆を含めたラストにした事で、より彼の憎しみや哀しみを感じることができた。難しく辛い仕事だったろうと思う一方、非常に頭のよい人だと尊敬した。
だからどうしても★4をあげずにいられない。
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