[コメント] ピクニック at ハンギングロック(1975/豪)
映画を見終った人むけのレビューです。
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長いこと気になっていた作品ですが、2024年になって4Kレストア&ディレクターズカット版でようやく鑑賞。
ソフィア・コッポラは『ヴァージン・スーサイズ』でこの映画から直接的な影響を受けたと語っていますが、実は私は観ていません。でもなんとなく分かります。ソフィアが『ビガイルド』としてリメイクした『白い肌の異常な夜』と本作はどこか似ている気がします。おそらくソフィアは孤独や閉塞感を感じている女子を描くのが好きなのでしょう。
そして、なんといっても、三木聡のドラマ「熱海の捜査官」はこれだったんですよ。私はこのドラマが無駄に好きで3回くらい観ていて、林檎先生(正しくは東京事変)の主題歌「天国へようこそ」もカラオケでよく歌っていましたが、正直「なんじゃこりゃ?」ドラマでした。当時、私に教養があればこの映画との関連性に気付いたでしょうに。
ただ逆に、今観て良かったとも思います。若い頃に観ていたら、やっぱり結論めいたものを求めていたでしょう。「世の中、結論が出ることばかりじゃない」「むしろ結論が出ないことの方が多い」ということが分かる年齢になった今だから、この映画を面白く受け入れられた気がします。
あと、勝手に持ち出した「天国へようこそ」という言葉が、案外この映画を考えるキーワードのような気もしてきました。アッチの世界に導かれた者と、コッチの現世に残された者。アッチの世界が天国かどうかはわかりませんが、コッチの現世が地獄だという話だと思うんです。なんだか、ベルイマンやカール・ドライヤー的なものも感じるんです。神の存在に触れる話。聖バレンタインデーの出来事ですしね。鏡を多く使っているのも印象的だった。
あともう一つ。「コルセットが無い」とか「先生は下着姿だった」とか、どこか性的な匂いも感じます。原作者は女性なんですよね。原作小説は1967年だとか。そう考えると、なにか女性解放運動(ウーマン・リブ)的な意味合いも感じないでもありません。
(2024.05.25 Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下にて鑑賞)
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