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[コメント] エビータ(1996/米)

皮肉屋の"チェ"(アントニオ・バンデラス)が素晴らしい。
あまでうす

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 ヒロインとして劇中で華々しい輝きを放つエビータに影のようにまとわりつき、 批判を投げかけ続けるチェ。"甘ったるいだけのシュークリーム"と思われがち のミュージカル映画だって、チェのようなキャラの存在で見事に深い味わいが 出せるじゃないか!!

 しかも、最後に批判屋のチェがエビータに逆襲される。エビータが危篤の際に 彼女とチェが暗闇の中で踊るシーンでだ。「帰りなさい、理想の軍団へ。 革命でもなんでもやるがいいわ。でも、私の国ではお断りよ。」(彼女のこの台詞。 そのまま現代の人々に言いたい。「貧富の差やら大企業やらにぶーぶー文句たれる だけなら、共産圏に行っちまえ!」) 自信満々だったチェの顔が初めて伏せられる。 ここで私はやっと気づいた。彼の正体は、あのチェ・ゲバラだ。

 革命だとか政変だとか私にはあまりに縁遠くて、正直な話、よくわからない。 でも、もしかしたらミュージカルみたいなモノかもしれない。 メロディのような理想に浮かされて、歌詞のようなスローガンに酔わされる。 いずれ幕が下ろされて、すべて幻だったと気づく時がやってくることをみんな、 知っている。でも、やめられないのだ。

 「ドント・クライ・フォー・ミー・アルゼンティーナ♪」と、いつの間にか 口ずさみながら踊っている自分にときどき気づくことがある。 自分は冷静で客観的な人間のつもりだったが、革命とかが起こったら、きっと 大喜びで飛び出して行っちゃうんだろうなぁ...などと苦笑いする今日この頃 である。

(評価:★4)

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