[コメント] エビータ(1996/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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ヒロインとして劇中で華々しい輝きを放つエビータに影のようにまとわりつき、 批判を投げかけ続けるチェ。"甘ったるいだけのシュークリーム"と思われがち のミュージカル映画だって、チェのようなキャラの存在で見事に深い味わいが 出せるじゃないか!!
しかも、最後に批判屋のチェがエビータに逆襲される。エビータが危篤の際に 彼女とチェが暗闇の中で踊るシーンでだ。「帰りなさい、理想の軍団へ。 革命でもなんでもやるがいいわ。でも、私の国ではお断りよ。」(彼女のこの台詞。 そのまま現代の人々に言いたい。「貧富の差やら大企業やらにぶーぶー文句たれる だけなら、共産圏に行っちまえ!」) 自信満々だったチェの顔が初めて伏せられる。 ここで私はやっと気づいた。彼の正体は、あのチェ・ゲバラだ。
革命だとか政変だとか私にはあまりに縁遠くて、正直な話、よくわからない。 でも、もしかしたらミュージカルみたいなモノかもしれない。 メロディのような理想に浮かされて、歌詞のようなスローガンに酔わされる。 いずれ幕が下ろされて、すべて幻だったと気づく時がやってくることをみんな、 知っている。でも、やめられないのだ。
「ドント・クライ・フォー・ミー・アルゼンティーナ♪」と、いつの間にか 口ずさみながら踊っている自分にときどき気づくことがある。 自分は冷静で客観的な人間のつもりだったが、革命とかが起こったら、きっと 大喜びで飛び出して行っちゃうんだろうなぁ...などと苦笑いする今日この頃 である。
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