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[コメント] 新 極道の妻たち(1991/日)

レナードの朝』の看板を借景に使うようなシニカルな自己批評でもって、ヤクザ映画は時代遅れの哀れを観客と共有しようとしている。擦り切れたワンパターンだが高嶋政広が良くて印象に残る。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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相変わらずモメるネタは組織の近代化だし、葬式に敵の夏八木勲が参入するし、岩下志麻石橋蓮司の刑事のポッケに札束突っ込むし。実にワンパターンだが、そんなもんだ判っていればそれなりに愉しめる。「戦争」の全面展開の銃撃戦もいいネタ揃えていい。

見処は高嶋政広。「どこまで近づいたら俺の顔判る?」という近視の彼女押し倒すテクは使えるものだった。翌朝眼鏡かけて紋々みて震え上がる海野圭子。高嶋は満面の笑みを返す。そして握手して男らしく諦める。この件はとてもいい。桑名正博との跡目継ぎ争いで続ける無茶と対照的なのがいいタッチ。

親子の縁切ったら岩下志麻は突然好戦論に傾き、すると驚嘆すべきことに幹部会全員これに賛成。天皇制のパロディかと疑ったが桑名の狂言芝居だった。弁護士免許はく奪の危機にあったかたせ梨乃が終盤せせり出る様は拙く、準主役だから仕方ないのだろうぐらいの感想。

岩下志麻は、声が一段と涸れていて迫力。右手でナイフ振り上げるときに左足のつま先持ち上げるのが格好いい。撮影は冒頭のパーティの群衆など巧いもんだ。

(評価:★3)

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