[コメント] IP5 愛を探す旅人たち(1992/仏)
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まず。映像がキレイ。この映画は全編通して自然に接する機会が多かったので、風景描写のうまさが特に際立っていた。色調が青がかった夜の湖のシーンの美しさは絶品です。森の描写(雨が降ってるシーンは特に)も良い。ベネックスは風景を描写する際に、光の入れ方がすごく巧いと思う。音楽が良いのも相乗効果となって、これらの描写を見ているだけで何故か感動してしまう。このベネックスの美的センスが評価アップの大きな要因になっている。
副題が「愛を探す旅人たち」とついているように、この物語は「愛」が大きなテーマだ。3人の主人公はそれぞれの形で愛を求めて旅している。その中で関係が進展して行くわけだが、旅が進んでいくと自然と自分自身もその旅の中に混じっているかのように3人に親近感が沸いてくる。特にイブ・モンタンの役が良い。最初は不思議な力がある特別な人といった感じだったが、段々と人間らしさが浮き出てきて、切実に過去の恋人の愛を求める姿が印象的だ。他の2人も同様に愛を求める過程をしっかり描写されて感情移入もできるのだが、オルビエ・マルティネスが恋する女性の描写が曖昧だ。男性の描写は長けているのに、女性の描写が不十分。後半で今までの態度から一転して、涙を流しても、何故なのかが理解できない。『ベティ・ブルー』の時は男女ともしっかり描写していた(どちらかと言えば男性寄りだが)のだが・・・。曖昧な描写で首を傾げてしまうが、その後のラストシーンは印象的だ。雪景色を背景に黒人少年が大声で叫び、それに老人の声も重なるラストシーン。旅を通して次第に培った老人と少年の親子のような関係が、曖昧な男女の恋愛関係より、実はこの映画のメインストーリーだったのかもしれない。
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