[コメント] ポストマン(1997/米)
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展開はそこそこ早く、明らかにハサミが入ったことを窺えるほど不自然に時間が飛ぶ箇所もあり「このペースで結果3時間て、元々どんだけ長期戦想定しとったんや」とも思ってしまうが、撮影や細部の演出は割と堅実にこなしている。まず、台詞ではなく映像で表現/説明しようとする基本姿勢に好感を持てるし、ポストマンとアビー(オリヴィア・ウィリアムズ)のロマンスも(セックスこそ事情があって激早に済ませたが)じっくり時間をかけて真面目に描いているので、亡夫に対して義理を欠いたという印象は薄い。
よくコスナーのナルシシズムが叩かれるのだが、この映画のコスナーは自分をカッコ良く見せようと言うより、むしろ(多くのシーンで)自分をカッコ悪く見せようとしていた(ラストこそゴリゴリのヒロイズムに流れたが)し、サブ・キャラクターにもそれなりに見せ場を用意していた。ただ、序盤に登場した口数少ない大男や口数多い小男など、せっかく魅力が出始めたキャラクターを使い捨てるように死なせてしまうのはいかがなものかとは思ったが。
アビーがやけに射撃上手いとか、ブリッジ・シティの市長がトム・ペティとか、ラストの像とか、正気とは思えないストーリー展開も散見されたが、3時間の長丁場なんだからあれぐらいの無茶はしないとむしろ駄目だろう。
あと、好きなシーン(ショット)をふたつほど。
まず、ポストマンが馬で駆けながら少年(コスナーの息子!)の手紙を受け取る例のあのショット。アメリカの国鳥である白頭鷲のように手紙を掴み取るのもまた意味ありげだが、単純に画的にカッコ良いと思った。ただ、あまりにも狙い過ぎで批判の対象に成り得ることもまた理解出来る。
もうひとつは、パインビューでのポストマンとアビーの二度目のダンス。カラフルな電飾(電力はどうしてるのか知らないが)をバックにしたコスナーの笑みが引くほどロマンティック。なんだかんだでコイツほどのイケメンはそうはいない。ポストマンに振られた少女(コスナーの娘!)の演技も良かった。バックにそこそこ良い雰囲気の挿入歌が流れているのだが、1997年のラジー賞の最低歌曲賞が「『ポストマン』の挿入歌全部」になっているのはちょっと面白かった。イジり方が雑で。
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