[コメント] 落ちた偶像(1948/英)
登場人物への感情移入を拒む笑劇。まれにみる奇矯な状況に遭遇できる、この状況こそ主役。基本、英国らしいシニカルだけれど、ちょっと違うのが味。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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だから、登場人物の誰それが嫌い、という反応では作品が可哀想だと申し上げたい。
よろめきドラマに事情の分からない子供を闖入させただけの話を、ここまで盛り上げる脚本は素晴らしいものだと思う。駅の待合での腰の落ち着かぬ会話と顔のアップで、ラルフ・リチャードソンは本当はろくでもない男なのではないかと観客に予感させる辺りの巧みなこと。二人だけの秘密に二人だけの秘密を重ねて発生するジレンマは、入れ子構造の幾何学のよう。ラストだって、凡庸なホンなら子供を全面的に正しいと描いてしまうところだろう。世の中それほど単純ではないのであった。階段の撮影はときどき眩暈を誘う。
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