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[コメント] 沓掛時次郎 遊侠一匹(1966/日)

俺ァ無個性なガキの出てくる話は嫌いなんだよ。長患いの病人の出てくる話もよ。
G31

ついこっちまで江戸弁移っちゃってるけど、信州や上州が舞台なのにみんなベランメ調の江戸弁喋ってるのが不思議。それはともかく、ふ〜ん、こういうの股旅物っていうんだ。確かに任侠モノの源流のような話だね。舞台が江戸時代なだけで、やくざ稼業の渡世人の物語だ。ただどちらかというと、任侠モノがわらじを脱いだところから始まり、再びわらじを履くまでを描く、つまり組織と組織の中の個人が描かれるのに対し、股旅は文字通り旅から旅、わらじは脱いだり履いたりで、渡世人自身の人生模様が描かれる、って感じなのかね。昔のロード・ムービーだね(本来はムービーじゃないけど)。まあ、これ観たただけで判断するのは早計かもしれないが、任侠モノは映画が独自に作り出したオリジナルな世界と感じさせるのに対し、股旅は戦前の(?)芝居を移植しただけのレベルから脱けきれていない、という感じがするな。加藤泰はさすが何気なく差し挟む「ヌキ」のシーンやなんかの美しさといったら一級品だけど、何の動きもない長い独白のシーンがあったりと、今の映画を観る者からすれば冗長で無駄と感じさせるところが多々あった。

あと中村錦之助(=沓掛時次郎)は確かに演技が上手く、どんなセリフ回しも実に自然な感じにこなすけど、それが物語世界と合ってなくてかえって不自然な感じ。むしろ初めの方にちょこっと出てくる車寅次郎、もとい身延浅吉(渥美清)の方が、一挙手一投足にコミカルな味があって、惚れ惚れするほどの名コメディアンぶりだった。

65/100(02/08/22記)

(評価:★2)

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