[コメント] はたらく一家(1939/日)
早朝。働く4人(父と長男、次男、三男)の食事。ご飯をいっぱいに盛る。四男は、中学に行かずに、小僧になるように言われている。五男は「将来、大将になる」と言う。妹には「女のルンペン!」。お祖父さん、お祖母さん、赤ちゃんもいる。
父−徳川夢声は、息子たちと家を出る。途中に、コーヒー、しるこの店。路地の向こうの高台に、立派な邸が見える。さりげなく「天国と地獄」の格差モチーフが画面で示される。
空地では子供達が戦争ごっこをしている。昼休みに昼寝をすると、戦地(戦場)の夢を見てしまうのは次男だったか。これを起こす工員は若き藤田進だと思った。この場面だけ登場する。また、ディアナ・ダービンのブロマイドを本に挿んでいるのも次男か。
長男が家を出て、5年勉強したいと言い出す。これによる周囲への「揺さぶり」がメインのプロットとなる。兄弟で夜遅くに近所の店にコーヒーを飲みに行く情景がいい。コーヒー屋の娘をめぐる長男と次男の関係もいい。
母親−本間敦子(本サイトでは本間教子または本間文子)は最後まで小言ばかり云う大局観の無い人として描かれており、ちょっと酷いと思う。道で近所の奥さんと会話するシーンでは、けっこう上品な言葉遣い、というのも揶揄なのか。人物としては面白くはある。
ラストの、次男、三男、四男で、でんぐり返しを反復する演出は、これも何だかヤケクソな感懐が漂う。マキノの『ハナ子さん』のラストに似ている。
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