[コメント] 嗚呼!!花の応援団(1976/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
1970年代とは60年代のスタイリッシュなファッションへの反発からバンカラがもてはやされた時代として捉えられる。
それは漫画界に最も顕著に表れていった。折良く劇画とサブカルチャーマンガが隆盛を誇るようになっていくと、少年漫画でもそれに応じたものが作られていくようになっていったのだ。それは例えば高校生の抗争を描いた少年サンデーの「男組」やマガジンの「愛と誠」であったりジャンプの「さわやか万太郎」であったりするのだが、その中で少年チャンピオンの本作「嗚呼!!花の応援団」がその頂点の一角を担っていた。この作品が他のバンカラマンガと大きく違っているのは、舞台が大学であると言う事と、学生の極端な縦社会を描いていると言うことだろう。基本的に反体制の立場を取る高校生を描いたものとは全くの逆のベクトルを持っている。その違いが本作の独特の味を出していた作品だったし、本作が開拓した縦社会の物語は、後の漫画にも多くの影響を及ぼしている。
そして映画化となった本作も1976年邦画興行成績8位という予想外のヒットを飛ばし、シリーズ化されることになる。
さて、本作はどう見ればいいのだろうか?一応本作の主人公は青田赤道という人物だが、あまりの破天荒ぶりに、そのまま描くと物語が無軌道になってまとまりが付かなくなる。そのため基本的に真面目な後輩学生二人の目を通して、その破天荒ぶりを楽しむという構造を取っているのが特徴で、「シャーロック・ホームズ」タイプの物語とでも言えよう。そして基本的にミニストーリーを連続して見せ、その度ごとに二人の後輩が酷い目に遭い、赤道はおもしろがってそれに荷担したり、時に後輩をかばったりして稚気と侠気のどちらも併せ持つ人物として、魅力を出すことには成功している。無茶苦茶ながら、一本筋の通った物語にはなっていた。
それは意外に成功してたんじゃないかと思う。特に前半に無茶苦茶やっているのに、ラストに家の重さや、言うに言えない恋心に戸惑う赤道の姿など、客観的に観ている視点があるからこそ成立するのだから。
ただ、基本コメディのためシリアスな展開は少々ちぐはぐさも感じないではないけど。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (0 人) | 投票はまだありません |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。