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[コメント] 南京1937(1995/中国=香港)

南京虐殺事件と家族のドラマを両立させるために、110分は短きに過ぎた。しかし、自分にとっては岡本喜八描くところの胸おどる戦争喜劇と同じように、こうした日本の侵略をはっきりと描く物語も貴重な映画体験だと思っている。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







中国人と日本人の家族をもっと描いてほしかったと個人的には思う。その繋がりが堅固であり愛情をもって描かれていてこそ、日本軍南京入城後の悲劇はより痛々しいものと映ったろうし、日本人である観客…我々の胸にもその残酷さが突き刺さったと思うのだ。

そして惜しかったのは、日本人の描き方である。なにも妙な日本語を話していたからではない。敵兵士の大量虐殺を命じた日本人司令官は、遥か遣唐使にまで想いを馳せたことなどはあるまい。それを胸に抱きつつ中国人を虐殺したならば彼は「忘恩の徒」だが、そんなものではない。明治以来のこの国の、外国人に関する意識のリセットは実に冷酷で身勝手なものであり、彼の脳内の中国人像はただの「薄汚いチャンコロ」に過ぎなかったろう。それゆえの南京事件だったのだ。

なお、不謹慎だが、書琴役の劉若英は非常に可憐であり、こんな娘を犯した兵はホンモノの鬼畜だったと思ったものであります。

(評価:★4)

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