[コメント] 評決のとき(1996/米)
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法廷小説の第一人者であるジョン=グリシャムの処女長編作品の映画化(この人の原作は必ず売れるので、映画化権を巡り、高値で取り引きされているらしい)。流石に処女作だけあって、後の作品に見られるサスペンス色は薄く、純粋な法廷ものとなっている。これは実はグリシャム自身が新米弁護士時代の体験を元にしたと言うだけあって、並々ならぬ思い入れがあり、なんと本作では自ら製作も兼ねている。
差別を映画化するのは難しい。これまでもこのテーマで多くの映画が製作されてきたが、概ね一般受けはしなかった。
本作のテーマは極めて重く、しかもかなり純粋な裁判ものなのだが、きちんとエンターテインメントしていた点が面白いところ。これらは両方欲張ると、大抵碌でもない事になるものだが、本作はそのギリギリの所で両立させられていて、社会派的な作品としても、エンターテイメントとしても、しっかり見せるに足る作品を作ってくれている。その手腕は確かに見事だ。重い。だけど面白い。これこそ映画の重要な要素だろう。
それに、この映画の大きな特徴として、これだけヴェテラン俳優を揃えていながら、主人公に殆ど無名だったマコノヒーを指名した事にあると思う。これだけの大役に堂々と挑んだこの人に功労賞を贈りたい。本作の肝は、新人弁護士の初々しさにあったのだから。その辺がよく分かった起用だった。更に脇を固める俳優陣がヴェテラン揃い(ドナルド&キーファーの親子競演も)。緊張感を盛り上げる演出はかなり上手かった。
結構好きな作品なんだが、それはひょっとして私がまだアメリカの差別の実態というものを知らないから。と言う部分もありそうだ。
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