[コメント] 渚にて(1959/米)
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……この映画の2年後に製作された『世界大戦争』がそれ。この映画でのコメントではこんなことを書いた。
「(前略)世界が滅亡に近づこうとしている時、それならば何をやっても許される、もうどうにでもなれといって自らの欲望を曝け出す……これが愚かであることはいくらでも指摘出来る。だが松林監督はそれよりももっと大切なことを訴えようとしたのだ。それが何であるかは、この映画を最後まで見れば一目瞭然だ。人間にとって最も愚かな行為とは、自らの手で人類を滅亡させる行為=核戦争である、と。人間が持つ夢、希望を完膚なきまでに打ちのめし叩き潰す第三次世界大戦を、今こそ防ぐのだ!と。「もっと早く“戦争はいやだ”と言えばよかったんだ」と呟く、その前に……。今、こんなメッセージを言える映画があるだろうか。」
何とびっくり、このコメントは本作にもほぼ当てはまる。というか『世界大戦争』が本作の影響を受けていることは明白で、おそらく松林宗恵監督も参考にしたに違いない。
ただ本作の場合は「来てしまった“その瞬間”を前にして、彼らはそれをどう受け入れるか?」……これが非常に重要な点で、『世界大戦争』とは微妙に違うところでもある。約5ヶ月という映画内での時間的猶予が何ともいえぬ哀しさを誘い、しかも潜水艦での任務が終わった途端に、その瞬間が思いのほか早くやって来るのがまた何とも……。誰一人として生き残らないという結末が見えるだけに、実に虚しさが漂うエンディングとなったのが印象深い。
……で、気が付いたのだが、時系列で並べるといくとこうなる。
・核戦争前→戦争突入→核で北半球全滅……が『世界大戦争』。
・核で北半球全滅→放射能拡大→豪州も壊滅の道へ……が『渚にて』。
こう考えると、両者の虚しさが似てるのも分かるなぁ……。まぁ、二本連続で鑑賞すると物凄く鬱になる可能性大なので、あまりオススメしませんが。
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