[コメント] トリコロール/赤の愛(1994/スイス=仏=ポーランド)
イレーヌ・ジャコブはファッションモデル。大きな赤い布の前で撮影する。バレエスタジオに通っており、スタジオの壁やバー(練習用の横棒)も赤い。ファッション・ショー会場の内装(椅子など)も赤。
また、ジャコブのアパートの近所の法学生ジャン=ピエール・ロリ。彼は赤いジープに乗っている。カフェのスロット、赤いチェリーが3つ揃う。これは悪い前兆、と云われる。マルボロのパッケージも、口紅を模した部分が赤いデザインだ。これらの内、特に赤いジープが度々画面に現れるのと、赤い布の前で撮影した写真が、大きな広告看板として使われるので、本作の赤色のイメージは強烈に印象に残る。
実は三部作、それぞれ撮影者が異なっている。得意なルックを考慮して、オファーされた結果なのだろうか。カメラワークが非常に凝っているのは三部作ともだが、この点では本作が一番面白いかも知れない。ジャン=ルイ・トランティニャンの家での唐突なカメラの動きの見事さ。ジャコブの車が道に停車し、クレーンで、ピエール・ロリの部屋へ移動するカメラ。ボーリング場のシーンでは、レーンの球を追うカットから、通路の横移動カットへ繋ぎ、割れたビールグラスを映したり、トランティニャンの家では、後退移動したカメラが、割れたビンを映す。これらの意味は、結局のところ、よく分からないが、分からなくても面白いからいいのだ。極めつけは、ラストカット。なぜか、大きな赤い布の前で撮影した写真のイメージに帰着する。これ面白い!
#本作でも老婆が空瓶を回収箱に入れようとしている。また、ラスト近くで、前2作の主役4人が画面に映る。
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