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[コメント] 身代金(1996/米)

アイディアの宝庫のような脚本。最大の見せ場であるメル・ギブソンの「賭け」はもちろんだが、個人的には前半に仕掛けられたトリックに拍手したい。このトリックだけで一本映画をつくってもよかったのでは、と思うほど。
空イグアナ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







誘拐犯の一人が店に行くと、ゲイリー・シニーズ演じる警官がいる。万引き犯と問答しながら、誘拐犯に視線を向けるゲイリー・シニーズ。部下から渡されたコーヒーをすすりながら、誘拐犯を睨む。

・・・いやあ、見事に騙されました。彼は警官として、客(誘拐犯)を怪しんでいたのではなかったんですね。

ここでゲイリー・シニーズ自身は、誰かを欺こうとトリックを仕掛けていない、ということに注意しよう。スクリーンに映し出されているのは、ゲイリー・シニーズが誘拐犯のリーダーとして、手下の行動を気にしている様子そのままであり、悪い言い方をすれば、観客が勝手に勘違いしたのだ。

推理小説では叙述トリックとしてよく使われる手口だが、映画ではなかなか見られない手法である(それ以前に、トリックにこだわったミステリ映画というが少ないんだけど)。

どうせなら、このトリックを全編に渡って仕掛けていたら、とも思う。メル・ギブソンと行動を共にするゲイリー・シニーズ、しかし実は彼は警官としてではなく、誘拐犯としてメル・ギブソンを監視していたのだった。さらには、誘拐犯一味と対決するゲイリー・シニーズ、しかし彼は警官として誘拐された子供を救ったのではなく、メル・ギブソンの「賭け」に対抗して行動していたのだった・・・。

トリックが仕掛けられているのが、前半、ほんの短い間だけ、というのがもったいない。「叙述トリック」が全編に仕掛けられた映画の登場は、これから数年後となるのだった(ネタバレになるから題名は伏せておく。もうすでにシネスケでレビューを書いたけど)

ところが、調べてみると、この「身代金」ってリメイクではありませんか。ひょっとして、元ネタとなった映画では、全編にトリックが仕掛けられていたのかな?

(評価:★4)

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