[コメント] ブルーサンダー(1983/米)
終盤までは大して面白くないが、徐々に都会がジャングル化していくスペクタクルには目を見張る。戦争の帰趨を決する要素としての、機械による知覚の拡張。押井守の『機動警察パトレイバー2 the Movie』はこれが元か?
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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高層ビルの窓ガラスに揺れて映るヘリの機体や、高架橋の下を潜って突き進むヘリなど、これはまさしく『パトレイバー2』。またパト2とは、防衛力の強化が却って自己免疫疾患的に市民の安全を食い破っていく事や、戦争とは情報処理の問題である、という主題性でもよく似ている。
この後者の主題について具体的に言うと、まず、この映画は最終的には、密談の様子を記録したビデオをテレビ局に届ける、という情報戦を目的としており、武力による敵の壊滅などを目的としているのではない。また、マーフィの操縦するブルーサンダーは、戦闘機から発射された熱追尾式ミサイルをかわす為に、料理店から出る熱や、ビルの窓ガラスに反射する日光の熱を利用する。機械による知覚の拡張が逆手に取られるのだ。そもそもブルーサンダー自体、プロペラ音の軽減によって敵から姿を隠し、熱センサーの装備、盗聴マイク、データバンクへの接続、録音録画機能、と、攻撃力や機動力と同じくらい、情報能力に力が注がれており、情報戦の為の機能が可能な限り備えられているのだ。
その一方、最後の対決では、ヘリによる宙返り合戦という、男同士の根性勝負になっているのも、これはこれでかなり好きだ。
空から地上の人間を監視するヘリ。劇中で警察のヘリは、市民から騒音への苦情が訴えられていたが、音もなく忍び寄るブルーサンダーは、却って余計に恐るべき監視システムでもあるのかも知れない。
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