[コメント] オースティン・パワーズ(1997/米)
ノリだけのようでいて、実は作りこんであるギャグにクスリとかニヤリとかさせられっぱなし! ではあったけれど、大爆笑を期待していたのでちょっと肩すかし。『ウェインズ・ワールド』では全く笑えなかったことにくらべれば、ずいぶん楽しかったのだけれど。
下ネタの連発でバカのやりっ放しのように見えて、実際は巧妙かつ丁寧に作りこまれた完成度の高い世界。一見、ストライクゾーンのど真ん中に、何も考えずに投げてきたストレートのようだけれど、ボール半個分ずらしてしっかりと打者を打ち取る投球術といったところか。
映画バカ(あるいはただのバカ)としてのキャラクターを演出しつつ、スパイ映画へのオマージュをその文法通りにしっかり組み上げてみせるなど、その仕事は実にキッチリしている。しかし、その巧妙さがちょっと鼻についてしまった。
タランティーノやウォシャウスキー兄弟なら「ほらね、映画のこといっぱい知ってるでしょ!」といった語り口を見せた後に「それでこんなの作ってみました」と直球を投げてきそうだけど、この人(やウッディ・アレン)は「だから僕ってエライでしょ、エッヘン!」とそっくりかえっていそうな気がしてしまう。
たしかに、面白いし、たくさん笑ったのだけれど、それが爆笑にならなかったのはそんな心理的ブレーキが働いたせいかもしれない……ちょっと残念だった。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (0 人) | 投票はまだありません |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。