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[コメント] スライディング・ドア(1997/英=米)

「パラレルワールドとして見てもらっていいよ」と監督が思ったとしたら、それは違うと思うんだけど。
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







なまじ「「パラレルストーリー」と解釈してもらってもいいかもね」と思ったのか、さして夢であることを強調していない演出をしている気がするけど、もしどっちもパラレルに存在していた世界とするなら、片方だけ死ぬのはなしでしょ。その場合この作品のテーマは「一本遅れても運命の人にはいつかは会えるんです」→「一本前に乗れたからといっていいことばかりじゃなく、むしろひどい目にあうことだってありますよ」→「危ないですから駆け込み乗車はやめましょう」ということになりはしないか?

これ、「乗れた場合」のほうは、明らかに昏睡中に見てた夢ですよね。思い返すと、うつらうつら目が覚めるときに、ジェームズ(新しい彼、名前違ったっけ?)の顔や、シェイクを飲むカフェなんかがフラッシュバックするという演出がされていたし。最後にエレベーターで、夢でみた人そっくりの人が乗っていたから驚いたわけだし。

恋人が浮気をしていたことがわかった直後に意識を失ったことによって、頭の中でものすごい「整理」が行われるわけだ。「ああ、あの時電車に間に合っていれば、私は浮気の現場に出くわしたんだ!」というのを軸に。恋人が他の女とやっているところの絵とかは、「あんなことやってやがったのね」という嫉妬からくる妄想だし、「何事も宗教裁判よりマシ」という実は自分のお気に入りのフレーズが、想像の彼の好きなフレーズになっていたり、「独立して広告会社を作る」なんていうのは、バーガー屋でアルバイトしながらきっと夢想していたことなんだろう。何度か元彼が心からお詫びをするシーンは、それでもちょっとは彼に対して許してあげようかという想いが残っているからだ(結局は即座に否定されるけど)。新しい彼だってもしかしたら浮気かも、男なんてみんなそうだ、いやいややっぱりそうじゃなくてそれには理由があったのよ…。

それであれば、ヒロインのことを凄く可愛く思う。こういう夢を見てたっていうことが。

(評価:★3)

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