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[コメント] ダイヤルM(1998/米)

オリジナル骨格だけ頂いてそこに現代的な肉付けを施しても小手先だけで登場人物の誰にも感情移入できない。
モモ★ラッチ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







その点『ダイヤルMを廻せ!』のグレース・ケリーには感情移入出来た。冷静に考えてみると彼女の役は夫がいながら不倫をしているわけであり、夫もそれほど非があるようにも見受けられないので非難されてもいいはずだが(表面的には妻を愛する優しい夫を演じていた)、なぜか夫にかまってもらえないか弱い妻のように見えた。例えそのか弱い妻が本当だとしても、不倫はよくないはずなのだが、それを感じさせないのは、むしろ、役者の違いと言うよりも監督の撮り方にかかわってくるものであり、意図的に、不倫と言う面から観客をそらせて感情移入させようと言う魂胆がありありで、それにまんまと乗せられているような気がしてならない。

ちなみに、ダイヤルMのMは「Murder」のM。でも本来なら「プッシュフォンM」になるところだけれど、それだとあまりにもダサいわな。

再度観賞。リメイクだと思って観なければ普通(以下)のサスペンス映画。特にリメイクだなんだと冠をつけなくともグウィネス・パルトロウが出ているサスペンス映画という触れ込みだけで多くの人が観るんじゃないのかな。むしろそうするように努力するべき。彼女とグレース・ケリーを比較するなんて野暮なことはしません(意味ないもんね)。ある意味彼女のファッション・ショーなんだし。

あくまでファッショナブルなスリラー映画に緊迫感と言う文字はない。果たしてそれでいいのか?もっと気合入れて撮ってくれと思うのは俺だけ?

閑話休題

もういったんそう思ってしまうと一々あら捜しをしてしまう。金持ち女の我儘振りとか、警部役の髭のないポワロの活躍が中途半端だったり、ストーリーのキーとなるべきものがオリジナル同様、まさしく「鍵」であるなどの独創性のない展開にもイラつく。オリジナルとの最大の違いである、殺人実行犯が第三者から愛人に変更された点も、人間不信という主人公の焦燥感以上に彼女を強く設定してしまったために効果は発揮できず、むしろ、オリジナルにあった犯人対警部の対決という緊迫感を消失させただけとなってしまった。

結論;同じ題材を使えば使うほど、その差は歴然とあわられてしまう、いわば試金石。リメイクはむしろ、あまり有名ではないがなかなか優れたプロットのある映画にしましょう。

だが、殺し屋の馬鹿さ加減はオリジナルと全く変わっていなかったのだった…

(評価:★1)

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