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[コメント] のど自慢(1998/日)

あたりまえの群像劇だから細部で実力が出る処だが、いいネタ揃えていて上々。朝霧鏡子リスペクトに邦画愛を感じる。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「銀座カンカン娘」歌うお婆さん(松竹少女歌劇学校1期生とのこと)。

もっと無茶苦茶かと思いきや、意外と情の世界に寄っている。寅さんも出てくるので誘われるように気づかされるのが、断片の描写が寅さんシリーズ、マドンナの背景の語り口とよく似ていること。淡泊になりがちで個人的には積極的に好きな手法ではないが、本作はこれを群像劇に叩き込んでの捌き方がとてもいい。

北村和夫が孫と夕闇で戯れるカットとか、室井滋が本物の坂本冬美を横顔をそっと覗き込むカットなど、神経が通っていて充実している。伊藤歩の曲交換の動機をクライマックスにする選択が麗しい。ただ小林稔侍が当たり前に過ぎたりと、ムラは感じる。

よく判らなかったのは大友康平の焼き鳥屋試験。前夜に合格の電話が入っていたのだから、本番当日に何を気にしていたのだったか。人情喜劇らしい善人たちのなかでも優れて善人なのは、出演横取りされたのに横取りした室井を応援している笹野高史の娘で、人情喜劇の脇役として完璧。

(評価:★4)

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