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[コメント] 斬る(1962/日)

仏間の入口から突然はじまる異様な緊迫感に、我を忘れて見入った。
寒山拾得

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







終盤が余りにも見事だから、妹渚まゆみの母親は誰だ? どうして市川雷蔵は知りもしない母親の顔を回想できるのか? 雷蔵は万里昌代の弟の助太刀になぜ行かないのか(「主水殿の志を無にしてはならぬ」などと云いながら、本当は同衾したかったのではないか)? といった不明点も、あえて突っ込む気にならない。三隅作品にはよくあることだ。

自害の動機もあってないようなものだが、武士道ってのはそんなものだろうという個人的な偏見に、妙に響くところがあった。控えの間の黒壁が不気味だし、蜿蜒と襖を開け続けるところはテレビの『ゲゲゲの鬼太郎』の最終回が思い出された、どうでもよいことだが。

あと、殺陣が何度もあるが、刃を突き刺す瞬間を襖や机で隠してキャメラに収めないところは、後年の日活ロマンポルノの絡みの処理が想起させられた。中盤までは特に見所がみつからなかったが、兄妹の仲の良さが微笑ましかった。

なお、予告編には、雷蔵の一太刀で相手が真っ二つになるという凄いショットがある。もったいない、なんで没にしたのだろう。

(評価:★4)

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