[コメント] 月光の夏(1993/日)
エンドロールに感動するという体験をした。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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なんで松岡茉優が出ているのかと思ったら若村麻由美だった。冒頭の件だけの登場だが、可憐でいいのだ。特攻兵を見送るカットは加藤泰ばりの空を見上げるローアングルと百合の花。
この調子で続ければいい映画なのにと思いきや、そうはならない。全般にこの作品、戦中は映画の質感があるのに、現代の件はどれもテレビドラマの撮り方をする。物語とは別に、監督の何か別の批評があるのかと勘ぐりながら観ていた。
そして、それはあながち的外れでもなかった。エンドロールのトップは当然渡辺美佐子だろうと見ていると若村であり、特攻兵の若い二人だったのだ。この若い三人を尊重することに映画は全力を傾注していたのだと理解して、いたく感動した。
そしてその直前、仲代の「月光」で回想される、彼を除いた五人の特攻機での戦死描写が素晴らしい。格好いい特撮など省略し、ただ土気色の顔が血みどろになるだけという痛々しさ。つい撮ってしまうヒロイズムが意図的に抹消されている。山本圭の惨めに死んだ特攻兵の従兄弟の回想もこの趣旨に則り心に残った。
本作は「振武寮」の実話発掘で名高い訳だが、ここの描写が以外と淡泊なのが詰まらない。ここを肉厚で描写されていたらもっと評価したい作品なのに。
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