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[コメント] 菊次郎の夏(1999/日)

悪ノリも、徹底して楽しんで創ればちゃんと映画になる。気の利いた台詞など無い、ただ黙って下を向いている画面でも、適切に繋げば感情が伝わる。
緑雨

冒頭から二人が旅に出るまでの、少年の境遇を呈示していく浅草シークェンスが素晴らしい。芸の街を帰結点としたロードムーヴィーは、タップダンスやジャグリングを差し挟みながら幸福感へと昇華していく。

「やさしいおじさん」役の今村ねずみによれば、監督には当初、浅草の路上で集団タップダンスするシーンのイメージがあったと云う(これは後の『座頭市』で結実するのだが)。北野武のノスタルジーと芸への思い入れを反映した、実に私的な映画と思う。

(評価:★4)

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