[コメント] 誰がために鐘は鳴る(1943/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
ヘミングウェイの原書の巻頭に掲げられている詩は、知る人ぞ知るジョン・ダン(英国聖職者・詩人15−16C)の「瞑想」No.17の1部である。
以下その詩と私の拙訳を記す。
No man is an island, entire of itself; every man is a piece of the continent、
a part of the main; if a clod be washed away by the sea,
Europe is the less,
as well as if a promontory were, as well as if a manor of thy friend`s
or of thine own were.
[Any man`s death diminishes me], because I am involved in mankind,
and therefore never send to know for whom the bell tolls,
it tolls for thee.
誰も皆孤立した島ではなく, 自分自身で全部揃っている者もいない。
すべての人は大陸の1片であり, 大きなものの1部分である。
もし、その1つの土くれが波によって 洗われ流されていくなら、
大きなヨーロッパ大陸もその分失われていくのだ。
ちょうど岬が減じていくように。
ちょうどあなたの友やあなたが持っている土地が減っていくように。
[あらゆる人の死は私を小さくさせていく。] なぜなら私も人類の1部だから。
それ故に誰のために鐘は鳴るのかと聞くものではない。
それはあなたの為に鳴るのだから。
(・以前「アバウト ア ボーイ('07)」のコメントでも拙訳を記したが評判が良くなく手を加えています。・[ ]は筆者が付け加えたものです。)
さて、上記の[ ]含む以降ラスト迄の分が、映画のオープニングに採られた所だが、そこを意訳でもなく、バッサリと分かり易い表現に変えてしまっている。
「誰も人の死より逃れられぬ」(日本語字幕:篠原有子氏)
としたのだ。
「一個人、一個人は別個のものではなく、人類全体の各々一部分である」という詩の主張を十分に生かして欲しかった。
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