コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] サイモン・バーチ(1998/カナダ=米)

深く考える喜びを誰でも手軽に味わえる映画

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







暇でも迫力のある映画とか、下らなくても退屈だけはしない映画とか、面白い映画にも色々な種類がある。一番下らないのは「深く考えさせる事をウリにした大衆映画」 というのが俺の考えです。

サイモン・バーチの性格付けは教科書通りじゃない。普通の人ならもっと純情なお人よしの子供にするでしょう。それを敢えてもう一歩踏み込んで、少し憎たらしい人間味あふれるキャラにした。そのへんはさすがはアーヴィング先生。でもね、この映画の脚本の出来を考えれば、むしろもっとわかりやすいキャラのベタベタの苦労話の方が良かったんじゃないかと思ってしまう。

結局この普遍のテーマに明瞭な答えなどあるはずもなく、万人に響く解釈など用意できるわけない。それを浅く広く演出してもサイモンはただの現実逃避(=前向き思考)に明け暮れるクソ生意気な小僧にしか見えない。このチープさの中では正直言って俺は人間味あふれるサイモンがかえってうざかった。「お前はただの不幸者なんだよ、理由なんかねえよ。本当は知ってんだろ?」って思っちった(笑)  そして当然のように気休めを一つプレゼントして終了という最悪の結末では、何がやりたかったのか少しも表現できてない。

そもそも答えをくれないと分かってる問いかけに真面目に考える気も起きない(というかこんなテーマはきっかけをもらわなくとも初めから俺の中にある)。深いテーマをふっといて、それについての考察が客の俺よりいいかげんなんだから、たちが悪い。お手軽な映画ならお手軽で、背伸びしないで堂々と三枚目を認めなさいよ。俺は二枚目より三枚目のほうが好きなんだから。二枚目気取りの三枚目なんて何の存在価値もない。

結局サイモンをあそこまで細かく魅力的な性格付けしたのは一体なんだったんだ?映画の身の丈にそぐわない。優れた原作の安易な映画化なのがバレバレ。 つまり失敗作。

(評価:★2)

投票

このコメントを気に入った人達 (2 人)MUCUN[*] ゼロゼロUFO[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。