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[コメント] マイ・ガール2(1994/米)

なんで劇場公開されなかったんだろう。本当はとってもスクリーンで見たかったんだけどなぁ。今作だけでなく前作のネタバレもあり→
tredair

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







マイ・ガール』がベーダの成長を通した生と死をテーマとしていたことに対し、こちらは家族や夫婦とはいったいなんなのだろう、といったテーマ。

新しい家族を迎えるにあたり、ややナーヴァス気味になるベーダ。そんな彼女が初めてひとり旅に出るのは、亡き母の未知の轍をたどるため。ここには、彼女が第一作目で乗り越えた「母の死」と今度はガッチリ向かい合おうとする姿はあるが、決して恋の予感や期待といったトキメキへと向かう昂揚はない。

母の「生きた時間」をたどってゆくうちに、様々な価値観の人と出会うベーダ。彼/彼女たちを通し、家族のありようや夫婦の関係について考えをめぐらせざる得なくなるベーダ。そして、その多様性を実感し、それぞれの(決して血縁関係などだけに頼ったものではない)絆の有り様や素晴らしさを理解してゆくことで、自分の居場所を再確認するベーダ。

そっとはさみこまれた横軸のベーダの恋話が、主軸となるテーマを邪魔するほどではなく、だからと言っていい加減に扱われてはいないところもよい。70年代のいかにもな文化を堪能できるようになっているのも(前作よりもやや大袈裟になっているようなきらいもあるが)素直に愉しい。チャップリンの「スマイル」の使い方も、前作の「詩」の扱い同様さりげなくも素晴らしい。実際のところ、映画の物語自体にはテンプスの「マイ・ガール」よりもこちらの方がずっとふさわしいぐらいだ。

そして、なんと言っても、前作をきっちり踏襲した素晴らしいオープニングが表しているように、キャストや設定等の細かい部分にまで、『マイ・ガール』を好きな観客へ向けた気遣いがあるのがよい。この「とても大切なこと」を、(とにかく映画を作って売るためには仕方がないとでも言うのか)おろそかにしてファンを裏切り続けるシリーズが、世の中には一体いくつあるのだろう。

なればこそ、こんなステキな「第二弾」がビデオスルーのみで終わってしまったことが『マイ・ガール』ファンとしては残念でならないし、また、少女のただの恋愛モノかと思わせられるような陳腐な(売らんがな)コピーなどがジャケにあるという第一作目との類似点も、悲しくてしょうがない。

おばあさんが消されていたことも、とってもかなしかったりするけどね…。<唯一これがこのパート2で受け入れ難いことだったりする。

(評価:★5)

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