[コメント] 担え銃(1918/米)
アイリスインして新兵たち。担へ銃(になえつつ)の姿勢。左にパンすると左端にチャップリンがいる。この場面、チャップリンの回れ右の動作が可笑しい。彼の運動の面白さでは、こゝが一番か。
次に新兵たちの行進を、やゝ俯瞰の後退移動で見せる。テントに入って休むチャップリン。こゝまでがプロローグ。この後はずっと戦場の場面になる。最初の塹壕シーンでドリー前進移動を繰り出し、カットを割らずに後退もする。これがもっと大きなオープンセットなら、『突撃』みたいにできたろうに(本当は『突撃』みたいにやりたかったのじゃないかな)と思った。また、唐突に敵であるドイツ軍の塹壕に場面が移るのもいい。こゝは大きな兵士たちに小さな上官というフザけた見せ方で、チャップリンが投げた臭いチーズが敵の上官の顔にあたるという空間認識のギャップで見せるギャグも面白い。
その後は、敵地に潜入するシーケンスで、チャップリンが漫画みたいな木に化けたビジュアルも良く出来た造型だが、フランス娘役でパーヴィアンスが登場する壁のない2階建ての家屋のシーンがいいと思う。機関銃を持ったドイツ兵たちが2階に上がると、床が崩れ落ちるという画面造型には驚かされる。あるいは、ドイツ兵に連行されたパーヴィアンスが指揮官と2人きりにされ、あわや凌辱されるのか、というシーンで、彼女が振り向くバストショットと指揮官がニヤけなが見るショットを繋ぐのだが、これが切り返しっぽい繋ぎになっていて、映画の呼吸がある。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (0 人) | 投票はまだありません |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。