[コメント] チャップリンの給料日(1922/米)
大雑把に云って場面は大きく3つに分けられると思う。最初がある建設現場。仕事終わりにチャップリンに給料が支払われる。次にその夜の路上だが、酒場から出てきた酔っ払いたちの様子が描かれる。最後の場面は朝帰りしたチャップリンの自宅でのカミさんとのやりとり。
そしてこの3つの場面で私が圧倒的に面白いと思ったのは最初の建設現場の場面だ。こゝが、チャップリンの身体的ギャグにしても、映画らしい撮影編集の面白さという意味においても最も魅力的だと感じる。まず前提として、舞台となる装置は、多分3階建て以上のビル建設現場で、地上、2階ぐらいの足場、さらに高い足場の3つの高さが違う舞台が設定されている。この舞台を使って様々な愉快な演出が繰り広げられるのだが、なんと云っても目を瞠るのは、地上から投げられたレンガを一つ上の足場にいるチャップリンが受け取って積んでいく一連の動作だろう。地上からノールックで無造作に投げ続ける2人も面白い。これはフィルムの逆回しを活用しているのだと思われるが、そういうテクニカルな面でも実に興味深いシーンだ。
また、この地上と2つの足場を、小さなエレベーターを使って人や物を行き来させる画面づくりの面白さも書いておきたい。これをロングショットとして一つのフレーム内で(断面的に)見せず、異なる高さの連絡をほゞ全てカッティングで(カット割りで)造型しているというのがいい。実は、同じ高さの足場を使って撮影されたショットを繋ぎ合わせているが、エレベーターで高低を感じさせているのかも知れないということだ。
次の場面、酒場の玄関前から始まる夜の場面でも、排水溝の蓋とステッキのギャグや路面電車とモブを使ったダイナミックな画面など見どころはあるが、建設現場の面白さには及ばす、さらにチャップリンとカミさんとの一連のやりとりもさして面白みを感じなかった。あと、冒頭近く、現場監督の娘としてパーヴィアンスが登場し、チャップリンが恋慕の表情で見る、というシーンがあるのだが、この感情もパーヴィアンス自体もこの後のプロットに何ら絡ませないというのは物足りなく感じる。
#備忘でその他の配役などを。
・現場監督はマック・スウェイン。チャップリンのカミさんはフィリス・アレン。
・酔っ払いの一人及び大きなソーセージの屋台の主人でシドニー・チャップリン。酔っぱらいでチャップリンと同じ外套を2人で着るのはヘンリー・バーグマン。酔っ払い4人で路上で唄う場面では字幕で「スイート・アデライン」と出る。
・帰宅場面で音の出る人形を踏んでしまうという音を意識させる演出がある。
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