[コメント] チャップリンの移民(1917/米)
航行する大きな客船。チャップリンの登場は舷側から海の方を向いた尻のショット。吐いているのかと思ったら、魚を釣り上げる。甲板には母と娘−パーヴィアンスもいる。執拗にローリングするショット。
カメラを左右交互に斜めに傾ける。食事(食堂)のシーンで床をスケートのように滑り、太った女性と絶妙に絡む、この運動能力。また、船上でのサイコロ博打のシーンでは、完全なアクション繋ぎで引くカッティングがあり驚く。この繋ぎは本作ではこゝだけだ。他にも、自由の女神が左からフレームインするショットも書き留めておきたい。これは、船上の人(不特定多数の移民たち、甲板に佇む人たち)からの、ミタメの移動ショットだ。
本作は、はっきりした2部構成で、後半はNYの街のレストランが主な舞台。無銭のチャップリンと大男のウエイターとの攻防、及びパーヴィアンスとの再会といったプロットだ。もともと路上に落ちていたコインの扱いなどの見せ場はあるが、後半はチャップリンの身体的な演技の面白さはほとんど無い。チャップリンとパーヴィアンスが座るテーブルは画面右奥にあり、通路を挟んだ彼らの左の座席やさらに手前の酔っ払いと店員たちの乱闘になるスペースなど、店内の空間描写は面白いと思った。屋内ロングショットとのカッティング。テーブルに一人座るパーヴィアンスが唐突に繋がれるショット。あと、チャップリンたちの席の奥に、ピアノとバイオリンを演奏する楽士2人がずっと見えているといった画面構成はいい。
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