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[コメント] ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ(1998/英)

町内会ドタバタ殺戮劇。
パグのしっぽ

この軽やかさは落語に近い。脚本の精巧さもさることながら、派手な割に物語のスケールが町内会サイズを超えていなくて、日本の長屋話みたいな印象がある。しかしここまで複雑な構成を説明するのは口頭に頼る落語では難しくて、映像という強力な武器を持った映画でしか語りえないものだろう。落語で語りえない落語の面白さを表現したという点で、この作品は間違いなく面白い(特に日本人には)。しかし一方で、もう少し映画らしい重厚さ、例えば登場人物のキャラ立てやその感情の動き、イギリス下町の情景といった表現をうまく織り交ぜていれば、時代を代表する名作映画となったのではないかと思う。構成と演出に凝り過ぎて、軽薄になっている感がある。すごく良く描けたデッサン、素晴らしい習作、究極の★3つ。ガイ・リッチー、もっと生の悲喜交々の社会をその眼で見て吸収してくれ、そうすれば歴史に残る名作を残せるんだ、お前は!と偉そうに説教を垂れたくなるような作品。その後のガイ・リッチーの不甲斐なさを知っているので、そりゃ説教も垂れたくなりますよ。

(評価:★3)

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