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[コメント] 道(1954/伊)

小市民のロードムービー(レビューはラストに言及)
グラント・リー・バッファロー

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







人身売買や暴力沙汰を起こし、修道院から盗みをはたらいても悪びれる様子のないザンパノ。しかし、人を殺めてしまったとき、彼はうろたえてしまう。このとき、彼は大悪党ではなく、怯え惑う「小市民」であることが浮き彫りになる。

本当の自分は震える小市民なのに、あたかも大悪党を前にして言うように自分を責めてくるジェルソミーナに耐え切れず、彼女を振り払うザンパノ。自分の弱さゆえ、結果的にそれが彼女の死につながってしまう。

許しを乞う相手のいないザンパノは、為す術もなく浜辺でうずくまる。あのラストは、それでも彼の「道」は続いていくことを示唆している。最近でいえばブリュノ・デュモン作品のように、人の根源的な業を描いた作品と受け取った。(★3.5)

(評価:★3)

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