[コメント] 歌え!ロレッタ愛のために(1980/米)
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実在のカントリー・アンド・ウエスタン歌手ロレッタ=リンの半生を描く伝記映画で1980年全米興行成績5位。
アメリカ人にとってはソウル・ソングとも言えるC&Wを主題にした作品で、多くの歌が劇中でも歌われている。おそらくこれが大ヒットの一つの理由であろう。日本ではあまり馴染みのないC&Wではあるが、スペイセク自身が歌う歌も切々とした曲調で、なかなかに聴かせてくれる。
ところでこの1980年というのはハリウッドではなかなかに難しい年で、1960年代後半に始まったニューシネマからの脱却と、新しい価値観への転換が図られていたのだが、この年ではまだそれが確立されていなかった。エンターテインメントから真面目なもの、愛を語ったもの、実験的作品と、ヒットした作品で言っても実に様々な作品が挙げられる。
その中でも一応2年前に『グリース』(1978)が大ヒットしたお陰で、歌を出せば売れるのでは?という模索が行われていたようで、この年ハリウッドでは『ザナドゥ』、『フェーム』というミュージカルが投入。同時に殺伐とした70年代を振り返り、家族の再生をうたった『普通の人々』なども投入されている。それらの流れを上手く捉えてアメリカのソウル・ソングと家族の大切さを同時にまとめ上げたのが本作といえようか。逆に言えば、見事に当時のアメリカ人向けに調整された作品とも言える。よって、時代を過ぎた、外国人である私から観てさほど完成度が高い物語と見えなくても、当時のアメリカ人の心情を見事に掴んだ作品なのだと言うことは理解できる。
しかし本作では何よりシシー=スペイセクのキャラ立ちが一番だろう。何せ『キャリー』(1976)でのスクリーミング・クィーンぶりが記憶に新しい状態で(一応この時もアカデミーノミネートされているが)これだけの演技派ぶりを見せつけられたのだから相当に驚かれただろう(と言うか、これがスペイセクだと知った時に私が驚いた)。一回ホラー作品に出てしまうとメジャーにはなれない。というジンクスを見事打ち破ってくれた名女優であることは確か。13歳からヴェテラン歌手までの成長を見事に演じきっているが(当時既に30歳だったはずだが)、何より歌唱力には驚かされる。
尚、当初監督はジョゼフ=サージェントだったが、スペイセクと上手くいかずに降板したとのこと。
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