[コメント] 歌え!ロレッタ愛のために(1980/米)
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ロレッタ・リンの伝記映画。原題Coal Miner's Daughterは代表曲で最後に唄われる。各エピソードは断片的だが気にならないのは作劇の繋がりが良いからなんだろう。そしていい件が多い。
ケンタッキーの炭鉱町。レヴォン・ヘルムの大家族は『わが谷は緑なりき』のように、ボロだが一軒屋に住んでおりしかも随分大きく、驚かされる。母親フィリス・ボーエンズはアラブ人みたいにコーヒー占いをしている。炭鉱新参者のトミー・リー・ジョーンズはジープで斜面登りして、Dディに参加した、軍で洗脳されたと噂されている。こういうレヴォンの娘、14歳のシシー・スペイセクを射止め、反対する家族から奪っていき翌日結婚。
ザ・バンド出身のリヴォンの俳優としての代表作。出番は少ないがいい科白を貰っている。「山で暮らす者にできるのは三つ。石炭を掘るか酒を扱うか山を降りるかだ」と語られ、リヴォンは山中に葬られている。娘との駅舎での最後の別れの言葉「もう逢えない」が本当になった。「また逢えるわよ」「娘のお前にはもう逢えない」。段階を踏んで人は別れて行くものだという感慨があった。
牧畜しに移転したワシントン州では、電話も引かれていないが野原に広い家を構えている。集会所で椅子取りゲーム、パイの競り、C&Wでダンパという生活が活写される。鼻歌唄うスぺイセクに、ジョーンズの「君の唄が自慢なんだ」で物語が突然進展する。ジョーンズがマネージメントに意外な手腕を発揮するのが可笑しく、クルマでラジオ局周りという売りこみが興味深い。本邦の演歌の有線周りもこんなものなんだろう。
オブリという有名らしいオーディション・ショーに来たら周りは老人ばかりでビビるという件がC&Wの伝統を物語っている。ジョーンズはステージ亭主と呼ばれている。興行が大きくなるとやること無くなって非行に走るリアル。興行でスぺイセクが疲弊する終盤は深刻だが話としては平凡で残念。
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