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[コメント] 宇宙人東京に現る(1956/日)

日本初の総天然色空想科学映画。“オールカラーSF”よりもこう呼んだ方が風情があるよね?
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 丁度先に『ゴジラ』(1954)が大ヒットして、科学映画ムーブメントが起こっていた時期なので、それに便乗した、と言えなくも無いが、本作は“特撮”ではなく“SF”を目指していたところが特徴とも言えるだろう。

 いかにも悪人面したパイラ人も、インベーダーではなく純粋な好意から地球人を救うためにやってきたのだし、それを受けた日本の科学者連中もひたすら地球を救うために活動していた訳だから。

 岡本太郎がデザインしたというパイラ人の造形は素晴らしく(安っぽいけど)、期待としては、人類対パイラ人の戦いが展開することだったので、その点は拍子抜けだったが、こどものものとしてではなく、大人が観られるSF映画を作ろうという気概は認めても良かろう。

 ただ、やはり『ゴジラ』の後追い企画で、特撮技術もまだまだ黎明期。ましてや時代を先行する天才特技家の円谷英二なしと言う事もあって、特撮はお粗末なもの。物語自身も会話中心となっている分危機感が弱い。何よりシンプルながら優れた造形をもったパイラ人の魅力を画面に出し切れてなかったのが痛いところ。もう少しこなれていれば以降のSF作品にも良い影響を与えただろうに、その辺が勿体ない。

 確かに本作が成功したとは言い難いし、色々残念なところもある作品だけど、新しい手法にチャレンジしていこうという時代の流れを感じる事が出来るし、その意気込みを込みにして本作は考えたい。

(評価:★3)

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