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[コメント] ディープエンド・オブ・オーシャン(1999/米)

欠けた家族が戻ってくるということは、単になくし物が見つかるのとはワケが違う。
ホッチkiss

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







◆前半ミシェル・ファイファーが、捜査官に促され、バッグからベンの写真を取り出す。写真に写る我が子の姿を目にしたとたん、押さえていた不安や恐れ、その他諸々の感情が一気に噴出し、半狂乱で絶叫する。ワタシでもそうする。絶対する。血を分けた我が子を失った悲しみはいかばかりか。なかんずくこの場合は死別ではない。生死も分からぬままの喪失感たるや、身を引き裂かれる思いだろう。

◆元気な姿で家族の前に現れ、ホッとしたのもつかの間、家族と本人の間に横たわっていたのは埋めても埋めきれない9年の歳月と、それ以上の深い溝だった。血を分けた家族と絆でもってつながる家族。どちらが本当の、真実の家族なのか。その間にあって観るものの心を揺り動かす。たったひとつ残された絆、それが兄とのかくれんぼ、チェストの匂い。

◆家族の中にあっても、映画の中にあっても大半で隅に追いやられていた兄の存在は、ベン(サム)が心のチェストに閉じこめられていたのを助け出す、大切な鍵となっていたんだね。冒頭のシーンとラストは重なり合う。見終わった後に深い余韻を残す良い映画だった。

(評価:★4)

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